教育移住とは?国内と海外の選び方・費用・ビザ・帰国後の進路まで解説
この記事を書いた人
福岡県出身。前職はメーカー勤務。ある海外旅行で娘を現地のインターナショナルスクールに体験入学させた際、子どもが自ら学びに向かう伸び伸びとした光景に衝撃を受け、海外教育への関心を深める。約5年の情報収集と7カ国の比較を経て母子留学を決断し、会社を退職して2人の娘とともにマレーシアへ渡った。現在は娘たちを現地のインターナショナルスクールに通わせながら、自身の「迷い」と実体験をもとに、これから教育移住を考える家庭へ向けた等身大の情報を発信している。
子どもの学校のことを考えはじめてから、何年か経っている。「教育移住」という言葉は知っていて、記事もいくつか読んだ。それでも、学校見学の予約はまだ入れていない。
止まっているのは、情報が足りないからではありません。「どの国がいいか」を先に決めようとしているからです。行き先より先に決めることが2つあります。海外という手段が要るのか。合わなかったとき、日本に戻れるのか。この記事は、その2つを公的な一次情報で整理します。
この記事の結論
- 教育移住の判断は、行き先を選ぶ前に「海外でないと解けない問題か」を分けるところから始まります
- 学校は校名ではなく「出口」で選びます。出口の資格名と認定団体名が、日本の大学入学資格の一覧にあるかを確認します
- 帰国後の進路は「在外年数」と「帰国後の経過期間」で決まります。だから、出る前に確認しておく項目があります
この記事について
- ※この記事は、マレーシアへの教育移住・母子留学を検討されるご家族の「はじめの一歩」になるべく、GLOBAL EDU MALAYSIAが制作しています。当コラムの執筆・編集は、実際に自身の子どもをマレーシアのインターナショナルスクールに通わせているスタッフが担当しています。
- この記事は、マレーシア現地で教育移住・母子留学をサポートするGLOBAL EDU MALAYSIAが、30校以上の提携校から得た一次情報と、現地で子育てをする当事者としての実感に基づいて執筆しています。
教育移住とは、子どもの教育のために生活拠点を移すことです
- 教育移住は、子どもの教育を理由に、家族の生活拠点そのものを移すことです
- 最初に決めるのは、「海外でないと解けない問題か」と「帰国したときに何が起きるか」の2つです
母子留学は、母親と子どもだけが渡航する形を指します。教育移住は、暮らす場所そのものを移します。
多くの家庭は、ここから「どの国がいいか」を調べはじめます。ただ、比較が終わっても決められない理由が2つ残ります。どちらも、行き先より先に、国内の制度と公的機関・大学の募集要項で確認できます。
[体験談| Ayumi]
移住を検討しながらも、日本では教育環境や生活スタイルをいくつも試しましたが、どれも「これだ」と思える決め手にはなりませんでした。
約5年間という時間を費やしても、方向性を定めることができずにいました。
最終的に背中を押したのは、マレーシアの理想的な学校との出会いであり、それが移住を決断する大きな決め手となりました。
国内で足りる家庭と、海外が要る家庭を先に分けます
- 「日本の学校が合わない」の中身が学校の規模・雰囲気・カリキュラムであれば、国内の制度で解ける可能性があります
- 国内の国際バカロレア(IB)認定校は273校あります(令和8年6月30日現在)。うち95校は一条校です
「日本の学校が合わない」の中身は、ひとつではありません。学校の規模や雰囲気、カリキュラム、生活そのものの言語環境が混ざっています。
学校教育法施行令第8条により、相当と認めるときは、保護者の申立てで指定校を変更できます。学校選択制を実施している自治体や、教育移住の相談窓口を置いている自治体の例もあります。
国際バカロレア(IB)は世界共通の枠組みで学ぶ教育プログラムで、国内の認定校は273校、うち95校は一条校です(令和8年6月30日現在)。一条校は学校教育法第1条に定められた日本の正規の学校で、そこに在籍したままIBを学べます。
| 求めているもの | 国内で取れるか | どこで確認するか |
| 少人数の学校、自然の中での学び | 校区を越えた入学・転学の制度、自然保育の認定制度 | 市町村教育委員会/都道府県 |
| IBのカリキュラム | IB認定校273校(うち一条校95校)から選べます | 文部科学省 IB教育推進コンソーシアム |
| 学習指導要領を続けたまま環境を変える | 施行令第8条により、指定校の変更を申し立てられます | 市町村教育委員会 |
| 授業以外も英語が使われる環境、多言語・多民族が日常の環境 | 学校の外で使われている言語を確認してください | 候補校・住む予定の地域 |
学校の外で使われている言語まで変えたいなら、暮らす場所を変えます。そこが、海外を検討する線です。
行き先は、費用・距離・ビザ・カリキュラムの出口で絞ります
- マレーシアは有力な選択肢のひとつです。日本から直行便で約7時間、時差は1時間です
- 学費は中価格帯の学校で年間約120万〜300万円、生活費は4人家族で家賃込み月額約30万〜45万円です(2026年9月時点)
費用は総額で見ます。2025年7月から、年間の学費が6万マレーシアリンギット(RM)を超える場合に6%のサービス税がかかります。学費表の金額だけで積むと、この分がずれます。総額の組み方はマレーシア教育移住の費用の内訳にあります。
距離は、帰国の頻度と、親の仕事の続け方に効きます。ビザは2本立てで、保護者は就労できません。出口は、帰国後の進路に直結します。
この4つを書き出してから国を比べると、比較の対象が減ります。国ごとの比較は10カ国を5軸で並べた海外教育移住ランキングにあります。
[体験談|Ayumi]
私が7カ国を比較した際、自分なりの条件を決めて候補を絞り込んでいきました。 まず、日本にいる家族とスムーズに連絡を取りたいという気持ちがあったため、時差が大きすぎる国は「時差の壁」を理由に見送っています。さらに、VISAの取りやすさを考慮し、手続きが複雑な国も「ビザ取得のハードル」を理由に落としました。

学校は、カリキュラムの出口と英語サポートで選びます
- 学校は校名からではなく、カリキュラムの出口の資格名と、認定団体名の2つから確認します
- 大学入学資格は、12年の課程の修了、国際的な資格、国際的評価団体の認定校の修了のいずれかで認められます
- 英語補習クラス(ESL / EAL)の有無と入学時期は、学校ごとに違います
学校選びは、校名を並べる前に「出口」から見ます。出口とは、卒業時に手元に残る資格で、日本の大学に出願できるかどうかを決めます。
| 認められる形 | 内容 | 候補校のどこで確認するか |
| 外国の12年の課程の修了 | 外国で12年の課程を修了した者。12年未満の場合は、文部科学大臣が指定する準備教育課程等の修了が別に要ります | 学年の構成 |
| 国際的な資格 | 国際バカロレア、アビトゥア、バカロレア、GCE Aレベル、国際Aレベル、欧州バカロレアの各資格保有者(18歳以上) | 出口の資格名 |
| 国際的評価団体の認定校 | WASC・CIS・ACSI・NEASC・Cognia・COBISの認定を受けた教育施設の12年の課程の修了者 | 公式サイトの認定(accreditation)の表示 |
出典:文部科学省「大学入学資格について」(2026年9月確認)。2024年6月の改正で国際Aレベル資格と欧州バカロレア資格が追加されています。
確認の手順は2つです。候補校の出口の資格名を公式サイトで見ること。認定団体の名前を上の表と突き合わせることです。たとえばIGB International SchoolはCISとNEASCの認定を受けています。どちらも表にある団体です。
一覧にない団体の場合もあります。そのときも、外国の12年の課程を修了したという形で判定される道があります。一覧に団体名があるかどうかと、その学校の卒業生が出願できるかは、別の話です。個別の学校の可否は、志望する大学の募集要項と学校に確認してください。
インターナショナルスクール以外の選択肢もあります。マレーシアには文部科学大臣の認定を受けた日本人学校が4校あります。教育課程は国内の学習指導要領に基づき、中学部の卒業者は国内の高等学校の入学資格を有します。
英語補習クラス(ESL / EAL)は多くの学校にあります。呼び名も段階の分け方も違うため、名称・段階・卒業の条件は学校に直接聞いてください。
ここで残る「この学校で、うちの子はどうなるか」は、初回30分の相談で扱えます。相談先には、どんな家庭には向かないかを聞いてください。Global Edu Malaysia も同じ問いの対象です。
準備は、渡航の1年前から逆算して組みます
- 準備は渡航の1年前から逆算します。ただし、銀行口座の準備だけは起点より手前から始めます
- 学生ビザの申請はオファーレターが出てから始まり、通常1〜2ヶ月、混雑時は3〜4ヶ月かかります(2026年9月時点)
準備は渡航の1年前から逆算します。学生ビザの申請は、学校からオファーレター(入学許可書)が出てからでないと始まりません。
銀行口座だけは、1年前より手前から始めます。残高証明は3ヶ月分の銀行取引明細で、残高として約40万〜80万円以上を求められる場合があります(2026年9月時点)。明細は、さかのぼって作れません。
| 時期 | やること | 理由 |
| 12ヶ月前より手前 | 銀行口座の状態を整える | 残高証明は3ヶ月分の取引明細です |
| 12〜9ヶ月前 | 行き先と候補校を絞る/入学時期を確認する | 入学時期は学校ごとに違い、日本は4月始まりです |
| 9〜6ヶ月前 | 学校へ出願し、オファーレターを受け取る | ビザ申請はここから始まります |
| 6〜3ヶ月前 | 学生ビザを申請する | 通常1〜2ヶ月、3〜4ヶ月かかることもあります |
| 3〜1ヶ月前 | パスポートと健康保険を確認する | パスポートは18ヶ月以上、健康保険は12ヶ月以上の補償です |
| 渡航後すぐ | 在留届を出す | 帰国後の出願で在留証明書を求められます |
2026年9月時点。時期の区切りは目安です。
逆算は長いほうの3〜4ヶ月で組むと、入学月をまたぐ事故を避けられます。1年という数字より、順番が効きます。
[体験談|りーさん]
今回の準備では、正直どの手続きも想定以上に時間がかかりました。特にマレーシア関連の手続きは、返答が遅く進行が止まる場面が多く、動かすのに労力を要しました。
ビザは、学生ビザと保護者の滞在許可の2つに分かれます
- 子どもはStudent Pass(学生ビザ)、保護者は滞在許可という形で、2つに分かれます
- 保護者は、就労・事業・政治的活動ができません(2026年9月時点)
教育移住のビザは2本立てです。子どものStudent Pass(学生ビザ)と、保護者の滞在許可(一般にGuardian Pass、保護者ビザと呼ばれます)です。まとめて「移住ビザ」と扱うと、必要書類の抜けが起きます。
| 項目 | 子ども(Student Pass) | 保護者の滞在許可 |
| 対象 | 3歳以上の非マレーシア国籍の学生 | 実父母、法定後見人、養父母、祖父母、7歳未満のきょうだい |
| 手数料 | RM60.00 | RM90.00(Social Visit Passとして) |
| 主な書類 | Form IMM.14、出生証明書、婚姻証明書 | Form IMM.12/IMM.55/IMM.38、財政能力の証明 |
| 就労 | ― | 就労・事業・政治的活動はできません |
出典:マレーシア移民局(2026年9月確認)。ビザ費用は国籍により異なります。
学生ビザは、学校の所在地を管轄する移民局のStudent Pass Unitに申請します。申請先は「住む場所」ではなく「学校のある地域」で決まります。保護者は就労も事業もできないため、日本の仕事をどう続けるかを渡航前に決めます。
MM2Hは外国人の長期滞在制度で、教育移住の主要な導線ではありません。カテゴリーと金額は公式サイトで確認してください(2026年9月時点で4区分)。
学校が合わなかったときには、マレーシアでの転校という選択肢があります。そして、日本に戻るという選択肢もあります。
帰国するときに何が起きるかを、出る前に確認します
- 公立の小学校・中学校は、帰国して住民登録をすれば、教育委員会が学校を指定します
- 帰国子女枠の判定軸は「在外年数」と「帰国後の経過期間」の2つです。要件は都道府県・学校ごとに違います
- 大学の帰国生入試では「最終学年を含めて2年以上継続」という形が複数の大学で共通しています
Global Edu Malaysiaは、途中で軌道修正が必要になったケースや、帰国という選択に至ったケースも踏まえて助言しています。帰国は失敗ではなく、選択肢のひとつです。
効くのは、在外年数と、帰国後の経過期間と、卒業のタイミングです。どれも出発する年に決まりはじめます。
義務教育は制度上戻れます。入試も選抜もありません。帰国した時点から保護者に就学義務がかかり、市区町村の教育委員会が学齢簿を編製して、就学すべき学校の指定と編入学期日を通知します(学校教育法第17条・第18条)。運用は自治体ごとに違うため、帰国先の教育委員会に確認してください。
戻れるのは「席」で、その先の進路には別の要件があります。帰国子女枠は全国一律ではありません。東京都立高校の海外帰国生徒対象の募集では、応募資格は外国における連続した在住期間が2年以上、第二学期の転学・編入学募集では帰国後1年以内が加わります。募集人員は1校あたり1〜4名で、国語・数学・英語の学力検査がある枠もあります(令和8年度)。
都立の中高一貫校で海外帰国・在京外国人生徒枠を実施しているのは2校です。出願時には在留証明書と現地校の成績表2年分が要ります。どちらも、帰国してから作れない書類です。
大学では、「大学入学資格」と「帰国生入試」は別の話です。最終学年を含め2年以上継続して在籍という形が複数の大学で共通しています。在外年数の合計ではなく、卒業する直前の2年間で判定されます。慶應義塾大学の帰国生対象入学試験は経済学部・法学部・医学部・理工学部で実施され、総合政策学部・環境情報学部は2027年度以降の募集を停止します。
海外の入学時期は9月・1月・4月などに分かれ、日本の学校は4月始まりです。東京都立高校の9月入学生徒募集が、令和8年4月1日から8月31日までに現地校を修了する見込みの者を対象にしているのは、この段差に対応するためです。出るときの入学月が、戻るときの受験時期につながります。
| 確認すること | どこで確認するか |
| 候補校の出口の資格名 | 候補校の公式サイト |
| 候補校の認定団体の名前 | 候補校の公式サイト/文部科学省の一覧 |
| 現地校の成績表を毎年、原本で保管する | 在籍予定の学校 |
| 在留届を出し、在留証明書が取れる状態にする | 在外公館 |
| 帰国子女枠の「連続何年」と「帰国後何年以内」 | 戻る自治体の教育委員会/志望校 |
| 帰国生入試が「最終学年を含めて2年以上」になるか | 志望候補の募集要項 |
| 公立の小中学校に戻る場合の手続き | 帰国先の市区町村教育委員会 |
| 日本人学校が候補地にあるか | 文部科学省の在外教育施設の一覧 |
この表は、帰国子女枠に入れる保証ではありません。要件は「何年いたか」と「いつ戻るか」で決まるので、出る前に確認します。
帰国を選択肢に残すことと、いま暮らす場所になじむことは両立します。暮らしの実際はマレーシアでの子育てと暮らしにまとめています。
候補校の出口と、戻る予定の時期を書き出します
この記事を読んだあと、今日できることが3つあります。
- 候補校の公式サイトを1つ開き、出口の資格名と認定団体の名前を確認する
- 戻る予定の自治体の教育委員会に、「連続何年」と「帰国後何年以内」を確認する
- 成績表の保管と在留届を、渡航前の持ち物リストに入れる
帰国のタイミングが志望校の要件に合うかは、渡航する学年で変わります。候補校と戻る時期が決まっている場合は、初回30分の相談でその2つを突き合わせられます。